行政書士山野伊紀事務所

相続税と贈与税の税制改正について考える

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相続税と贈与税の税制改正について考える

相続税と贈与税の税制改正について考える

2023/09/22

相続対策に係る贈与税と相続税に関する税制が改正され、来年令和6年1月1日より施行されます。生前贈与と相続税課税について制度が二つあります。一つ目は暦年課税制度、二つ目は相続時精算課税です。現行は、暦年課税制度が主に使われており、相続時精算課税はほぼ使われていないようです。改正後は事情が変わりそうです。以下それぞれの変更点について解説し、施工後の相続税対策について考察します。

 

・暦年課税制度

現行は生前贈与について一人当たり年間110万円まで贈与税を控除し、相続開始より3年より前のものは相続財産価額に加算いわゆる持ち戻しがされないので相続財産価額を減らすことができます。逆に相続開始から遡ること3年以内の生前贈与に関しては持ち戻して相続財産の価額を計算することになります。改正後はこの持ち戻し期間が3年から7年に延長されます。使い勝手は悪くなると思われます。

 

・相続時精算課税制度

現行は生前贈与については期間とわず回数問わずで贈与総額2500万円まで贈与税を控除するが、相続清算時は全額持ち戻して相続財産価額に加算しますというものです。

相続時精算課税制度を使うには届出が必要で、一度届け出ると暦年制度は使えなくなります。相続税対策としてよりも生前に資金需要があるようなケースなど使い方が限定的になっています。改正後は年間一人当たり110万円までは持ち戻しされなくなります。相続財産価額を減らすことが期待できます。

 

以上の解説でお分かりのように暦年課税制度は、7年という非常に長い持ち戻し期間がありますので、相当長期的に計画を立てる必要がありません。暦年課税制度を先に利用しその後相続時精算課税制度に切り替えることはできます。相続財産価額の多少によっても対策も変わってきますし、相続人の数や誰が相続するのかでも対応策が変わってきます。相続財産の価額が基礎控除額に対して大きく上回っている場合は年間110万円贈与では相続財産を減らすのに不十分です。贈与税は20%課税されます。また相続税は累進性(価額が多いほど税率が高くなる)があります。相続財産の価額と税率を見ながら贈与税を払った方が節税できる場合があります。配偶者が相続人にいる場合、法定相続分については上限1億6千万円まで相続税の控除があります。そういうものを活用しながらどういう選択をすると節税ができるというシミュレーションをする必要があります。相続税対策が長期化すると、被相続人の介護に対する費用の手当ても考慮する必要があります。成年後見制度の利用も想定しておかねばなりませんし、何世代もの相続を視野にいれて家族信託を併用する選択しもあります。

「行政書士山野伊紀事務所」は「街の身近な法律家」として相続税対策をきっかけに相続のトータルコンサルティングを実践したいと考えております。

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